先進医療の保険導入として、本年4月1日よりCAD/CAM冠(M015-2)が保険適用されました。厚労省からの定義は以下の通りです。
算定告示
注 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、歯冠補綴物の設計・製作に要するコンピュータ支援設計・製造ユニット(歯科用CAD/CAM装置)を用いて、小臼歯に対して歯冠補綴物(全部被覆冠に限る。)を設計・製作し、装着した場合に限り算定する。
留意事項通知
- 1)CAD/CAM冠とは、CAD/CAM冠用材料との互換性が制限されない歯科用CAD/CAM装置を用いて、作業模型で間接法により制作された歯冠補綴物をいう。
- 2)CAD/CAM冠を装着する場合は、次により算定する。
- イ 歯冠形成を行った場合は、1歯につき、生活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のロ非金属冠」及び区分番号M001に掲げる「注2」の加算を、失活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のロ非金属冠」及び区分番号M001に掲げる歯冠形成の「注6」の加算を算定する。
- ロ 印象採得を行った場合は、1歯につき、区分番号M003に掲げる印象採得の「1のロ連合印象」を算定する。
- ハ 装着した場合は、1歯につき区分番号M005に掲げる装着の「1 歯冠修復」、区分番号M005に掲げる装着の「注1」の加算及び特定保険医療材料を算定する。
- 3)特定保険材料は別に算定する。
- (1) 薬事法承認又は認証上、類別が「歯科材料(2)歯冠材料」であって、一般的名称が「歯科切削加工用レジン材料」であること。
- (2) シリカ微粉末とそれを除いた無機質フィラーの2種類のフィラーの合計が60%以上であり、重合開始剤として過酸化物を用いた加熱重合により作製されたレジンブロックであること。
- (3) 1歯相当分の規格であり、複数歯分の製作ができないこと。
- (4) CAD/CAM冠に用いられる材料であること。
<特定保険医療材料>
CAD/CAM冠用材料 484点
[定義通知]
次のいずれにも該当すること。
施設基準通知
- 1)歯科補綴治療に係る専門の知識及び3年以上の経験を有する歯科医師が1名以上配置されていること。
- 2)保険医療機関内に歯科技工士が配置されていること。なお、歯科技工士を配置していない場合にあっては、歯科技工所との連携が図られていること。
- 3)保険医療機関内に歯科用CAD/CAM装置が設置されていること。なお、保険医療機関内に設置されていない場合にあっては、当該装置を設置している歯科技工所と連携が図られていること。
さて、定義だけを読むと曖昧でよくわからない文章です。
歯科医院側の基準は別として、技工所の基準が皆さん気になるところでしょう。
前ページの定義だけでは、CAD/CAM装置が設置されていない技工所は、CAD/CAM冠の補綴物製作ができないことになります。
しかし、4月23日に発表された「疑義解釈資料の送付について(その4)」で変わりました。以下の内容です。
【歯冠修復及び欠損補綴:CAD/CAM冠】
(問5)CAD/CAM冠について、歯科用CAD/CAM装置を有していない歯科技工所の関わり如何。
(答) 稀なケースと思料されるが、仮に歯科技工を行う場合は、歯科技工指示書により歯科医師がその旨を記載するとともに、届出にあたっては歯科用CAD/CAM装置を設置する歯科技工所を含め、全ての歯科技工所に関する内容及び当該装置を設置している歯科技工所(例:A歯科技工所:装置設置)が分かるように記載する。

またまた、難解な文章ですが、要は「CAD/CAM装置を持っていない技工所でも、CAD/CAM装置を設置している技工所に外注しても良いですよ」ということです。但し、連携が図られていることが前提です。この連携が図られているということは、歯科医院がCAD/CAM冠をどこの技工所が製作しているか判っているということで、その証拠となるのが、指示書になります。
歯科医院が出す指示書が、歯科医院から仕事を依頼された技工所(A)、そして技工所(A)から外注を依頼された技工所(B)に同じ指示書がいき、製作され、納品する場合にはその指示書に材料のロットNo.を記入して技工所(A)、そして歯科医院に渡す必要があり、これが連携が取れているということです。患者さんの口腔内に入れたCAD/CAM冠に何か問題が起きた場合、そのCAD/CAM冠が、いつどこの技工所の誰がどのCAD/CAM装置を使って製作したものか、そして材料はどのメーカーのロットNo.はいくつかと、追跡でき責任の所在がはっきりしていることを狙いとしています。